神経質
(2009年8月15日)

  

ブチハイエナの餌は通常、閉園後に寝室で与えています。
この日は、ちょっと工夫して運動場で与えてみようと考えました。

地面に餌を置いて与えても良かったのですが、今回は天井から紐でつるして少し動くようにしてみようと考えました。

オスの「ホシ」は今回与えたウマの腸が大好物なので良い反応を期待して準備をしました。
天井からぶら下げて、寝室の扉を開けると、ホシは勢いよく運動場に飛び出しました!
これはうまくいった!と思い運動場がよく見える表へ僕も出てみると、そこには緊張したホシの姿がありました。
「あれっ?」
ぶら下がった紐が怖いのか、見慣れないものが怖いのか。
とにかくまったく寄って行こうとしません。
いつもお尻が下がって腰が引けたような姿のブチハイエナですが、今回は本当に腰が引けていました。
結局、最後まで餌に近づくことはありませんでした。

ガリガリタイムでも「肉食の動物ですがとても神経質で怖がりなんです」などとお話ししていますが、ここまでだったとは…。


(藤嶋)




レイの引越し
(2009年6月12日)



双子のブチハイエナのもう1頭「レイ」が6月8日に岡山県にある「池田動物園」へ引っ越しました。

ブチハイエナのオスは早い個体は2才半位で大人(性成熟)になります。
彼も、もう2才を過ぎたため、そろそろ母親の「キラ」の元を出て行かなければなりません。
そこで今回の引越しとなったわけです。

あちらでも、しっかりとブチハイエナの魅力を伝えてくれることでしょう。
この引越しで、日本国内でのブチハイエナの飼育園は4園目となりました。
「レイ」が大好きな大宮公園動物園ファンも、県外にお住まいでこのHPをご覧になっている方も(特に西日本の方)ぜひ、「レイ」に会うために池田動物園を訪れてみてください。


※ちなみに現在、ブチハイエナを飼育している動物園は、「日本平動物園」「天王寺動物園」「池田動物園」と当園だけです。


(藤嶋)




セレンの引越し
(2009年3月22日)

  


当園で生まれ、今までみなさんにあたたかく見守ってもらってきたブチハイエナの兄弟の1頭「セレン」が、3月16日に静岡県の「静岡市立 日本平動物園」に引越しをしました。

父親の「ホシ」と母親の「キラ」は、当園に来る前は「日本平動物園」にいました。
その2頭を当園がBL(ブリーディングローン)で借りて飼育しています。
BL(ブリーディングローン)とは、繁殖などの目的で動物園同士で動物を貸し借りする契約です。

このように貸し借りすることで、動物たちは遺伝的多様性を維持して血統にかたよりが少ない繁殖をおこなえるのです。
簡単に言うと、日本中の動物園の動物を1つの集団として繁殖を計画することができるわけです。


1つの動物園では10年、100年先までずっと動物を維持することはできません。
そこで、動物園同士、お互いに協力して、動物を未来の皆さんやその子供たちが見られるように努力をしています。


話は戻って、「セレン」もそのBLの関係で引越しをしました。
動物の引越しで苦労することは、輸送用の箱に入ってもらうことです。
普段見ないものには警戒して近寄らないことも多いのですが、セレンはあっという間に箱の中に入ってしまいました。移動の前日には箱の中でゆっくり座っている姿も見られました。
ですから、輸送箱への収容はあっけないほど簡単にできました。
朝から車に揺られ、午後には無事に日本平動物園に到着したようです。


みなさんもセレンに会いにぜひ、日本平動物園にも足をお運びください。
動物園は1園だけでは成り立ちません。
当園をきっかけに全国の動物園に興味をもっていただけるとうれしいです。

(藤嶋)



セレンとレイの雌雄
(2008年10月31日)


PCR法の写真

「レイ」と「セレン」

ブチハイエナはオスとメスの見分けがとても難しい動物です。
外見は大差がなく、メスにもペニスのような筒状の突起があり、ほとんど判別ができません。

ですから、当園生まれの「セレン」と「レイ」も今まで性別がわかりませんでした。
そこで今回、某大学に協力していただき2頭の雌雄を調べました。

毛根細胞のDNAから調べるということで、大宮公園にいる4頭のブチハイエナの毛を採集しました。
ただ、抜け落ちた毛は使えないので体から直接抜きます。
撫でてあげて気持ちよさそうになったところで「ブチッ」と引き抜きます。
一瞬驚いて、その後近寄ってこなくなったらどうしようと思っていましたが、案外何事もなかったようにしていました。
そしてこの1つまみ(20〜30本)の毛を、他の個体の毛と混ざらないように袋に分けて大学に送ります。

大学ではこの中のDNAをPCR法という方法で分析してオスとメスを見分けます。
この方法で最も重要なことは確実に雌雄のわかっている個体のサンプルが必要であるということです。そのため、親の「ホシ」と「キラ」の毛も一緒に送りました。

数週間後動物園に届いたのがこの写真です。
PCR法という方法で判別をしたもので、
1番が「レイ」
2番が「セレン」
3番が「キラ」(母親)
4番が「ホシ」(父親)です。
写真中に白い横棒が見えるとオスだそうで、「セレン」と「レイ」は2頭ともオスであるという結果でした。

動物園内だけではできないことは、今回のようにいろいろな機関に協力をしてもらっています。

(白井)



個体紹介看板つくりました!
(2008年10月31日)



当園には現在、4頭のブチハイエナがいます。
オスの「ホシ」、メスの「キラ」、そしてその子供の「セレン」と「レイ」です。

しかし、全頭一緒に飼育はしておらず、3つのグループに分けて飼育しています。
ですから、運動場に出ているのはいつも1頭か2頭です。
彼らは当園の人気物なので、たびたび会いに来てくださる方が多くいます。誰が出ているか聞かれることがしばしばありました。

みなさんにも見分けてもらいやすいように、全頭顔写真入りの看板を作りました。
同じ顔をしているように思うかもしれませんが、よく観察するとそれぞれの顔に特徴があるのがわかると思います。
みなさんも違いをみつけてみてください。

(藤嶋)




イメージ
(2008年9月20日)

 

みなさんのブチハイエナにどんなイメージをもっていますか?
イベント「ガリガリタイム」のときに、僕はよくこの質問をしています。

正直、知らないと言われることも多いのですが、知っている方でも性格悪そうとか、怖いといった答えが多くかえってきます。
肉食動物ですから、怖いは間違っていないのでしょうが、性格が悪そうというのは外見やいろいろな情報からの偏ったイメージではないかと考えてしまいます。

イメージではない本当のことを知って欲しいという気持ちから生まれた「ガリガリタイム」では、野生での生活や餌の食べ方などを解説しながら食べている姿を観察してもらっています。

しかし、どうにもならないのが皆さんとブチハイエナとの距離。
そこで、もっといろいろな姿を見てもらえたらと写真でも記録をしています。
この2枚の写真もその中の1つ。
強さと愛らしさが伝わるといいのですが。。。

動物のいろいろな姿をいかに伝えられるかというのも飼育係の仕事です。
期間限定で大宮第二公園のギャラリーでパネル展示もすることになりました。
(イベントは終了しました)
今後は園内やHPでも伝えることができるようにいろいろ考えていきたいと思っています。


(藤嶋)




 

ケガ
(2008年8月18日)
治療前
  
治療中
  
     治ってきた傷  

ずっと仲が良かった兄弟「セレン」と「レイ」でしたが、6月頃から頻繁にケンカするようになりました。
ケンカといっても彼らには順位があるようで、やられるのはいつも「セレン」でした。
最初は、背中の毛が抜けてしまう程度だったので、順位がつけば落ち着くだろうと考えていましたが、
日に日にひどくなり、ついには大きな傷になってしまいました。
 
そこで、6月18日に急遽治療をすることになりました。
麻酔をかけて眠らせた後、別の部屋に移動して傷の消毒と治療をしました。
野生動物に麻酔をかけるのは難しく、時には死んでしまうこともあり、とても緊張します。

そんな心配をよそに治療は無事終わりました。
今では、もうすぐ毛で覆われて、傷がわからなくなるくらいまで回復しました。
けれども、また「レイ」と一緒にするとケンカになってしまう可能性が高いので、別々に飼育しています。
 
しばらく、ご覧になれませんがご了承ください。


(藤嶋)




Copyright(C) OMIYA PARK ZOO 2008-2009