コシジロヤマドリ戦記
(2019年5月15日)
 
 

 今回は動物と飼育係のほのぼの日誌…ではなく、戦いの記録です。主役はキジ舎3番目の展示室にいる尾羽のながーーーーい鳥、コシジロヤマドリです。

 ヤマドリは日本の固有種で、万葉集にも出てくるほど、昔から人々に親しまれてきました。(その尾の長さから、詩の中では長いことを表現するときにヤマドリが登場するそうですよ。)尾羽が長いのはオスのみで、強さを示します。他の雄との争いを避けたり、メスにアピールしたりするためです。ヤマドリの中でも、腰周辺が白くなっているコシジロヤマドリは鹿児島県や熊本県など、九州のみで生息しています。

 ふだんはおとなしい鳥ですが、繁殖シーズンになるとオスは自分の縄張りに入ってくる部外者を激しく威嚇し、攻撃します。

 当園で飼育しているコシジロヤマドリのオスに戦闘スイッチが入ったのは、4月の上旬でした。飼育係が展示室に入ると、ブンブンと音をたてながら猛ダッシュでとびかかってくるようになりました。あまりにも激しいため、掃除はおろか、給餌や水換えも躊躇してしまうほどです。それでもきちんと飼育作業を終えるため、となりの部屋におびき出し作戦、箒でブロック作戦、ヤマドリに追いつかれぬうちに入ってすぐ出るスピード作戦などいくつかの技を駆使して、毎日飼育にあたっています。
 ヤマドリの繁殖シーズンは4月〜8月ぐらいまで。まだまだ戦いの日々がつづきそうです。コシジロヤマドリの展示室で格闘している飼育係をみつけたら、そーっと見守っていただければ、幸いです。

(齊藤)


 訃報
(2015年11月11日)

  
 
コシジロヤマドリのオスが1日に死亡しました。死因は老衰でした。

井の頭自然文化園で2004年に繁殖し、2005年に当園へやってきたこのオス。
やってきた当初は、一緒にきたメスとフライングケージで生活していましたが、繁殖シーズンになると、なわばり意識が強くなり、飼育係や来園者にむかって威嚇をし、たびたび驚かせていました。一緒にやってきたメスが死亡し、新たなメスが来たタイミングで、現在のキジ舎への移動となりました。ペアを形成する事はできましたが、残念ながらヒナの誕生には至りませんでした。

美しい腰の白い部分と長い尾羽が印象的だった彼。フライングケージでは、何度か蹴られた覚えもあります。彼のいなくなった舎内はメス1羽だと少々広く感じます。


(藪)




引越し、引越し・・・そして!!
(2012年11月16日)

  

「鳥たちの楽園」では皆さんのこと敵?だと思い威嚇していたコシジロヤマドリのオス。あまりにも威嚇し皆さんの足を止めることが多くなったのでウスユキバト舎隣で飼育していました。 

あれから半年。


この度、キジ舎への引越しが決まりました。
そして引越し先にはメスが居ます。このメスは井の頭自然文化園から、お嫁に来ました。
メスの検疫も終わり、いざ同居!と思いきや高い壁がありました・・・。

ヤマドリは繁殖期以外、別々で行動子育てもメスだけが行い、とても縄張り意識も強いそうで彼らにとってはキジ舎ではやや狭く、喧嘩をしてしまうと思い分けることとなりました。


オスの体は濃い赤褐色をしていて、腰の部分が白く目の周りが赤い色をしていて、とても綺麗です。地味な色のメスがとなりに居ることにより、その美しさが目立って見えます。
皆さんの事をしつこく威嚇していたヤマドリですが、ゆっくりと近くでオスとメスの体の色の違いを見比べて見てはいかがですか?



(関根)




敵侵入!?
(2010年3月17日)

 


「とりたちのらくえん」に外敵が侵入しました。
コシジロヤマドリは懸命に追い払おうとします。

敵の正体は…。




人間です。
繁殖シーズンになり、彼らはなわばり意識が強くなります。
外から来る人間を敵だと勘違いしてしまうようです。
通路を歩いていると近づいてきて威嚇をしてくるかもしれません。

しかし、何もしなければそれ以上のことはしてきませんのでご安心を。
自分より何倍も体の大きな「人間」にも果敢に立ち向かう彼の姿はとても凛々しく見えます。
このような姿を間近で見られるのも動物園の醍醐味ではないでしょうか。

しかし、この記事に載せる写真を撮るためにカメラのレンズを向けると、レンズが大きな目に見えたのでしょう。襲われると思ったのか脚で攻撃されてしまいました。
近づいてきた際は、驚かしたり、追い払おうとしたり、逃げ回ったりはしないでください。
大きな動きをすると、敵だと勘違いされてしまいますよ。

彼らのすみかにお邪魔するのですからそーっと観察してあげてください。


(藤嶋)




 

残念な結果
(2009年5月31日)


抱卵していたときのメス

「とりたちのらくえん」に1ペア(オスとメス1羽ずつ)飼育されている彼ら。
オスは朝1番にはみなさんが通る通路を闊歩している姿も見られましたが、メスの姿がここしばらく見えませんでした。
なぜかというと、みなさんから見えない片隅で、卵を抱いていたからです。

ふつうは、およそ24日でヒナがかえるのですが、予定の日を過ぎてもずっと抱き続けていました。
そこで、親が巣を離れるときを見計らって卵を確認してみました。
5個の卵があったのですが、手にとって軽く振ってみると、「チャポン」と卵の中から音がしました。
一応全ての卵を確認してみましたが、残念ながら全て無精卵でした。
うまれた卵は温めればすべてがかえるわけではありません。
交尾がうまくいき、受精していないとヒナにならないのです。
期待していただけに、一同がっくりと肩を落としてしまいました。

動物の繁殖はなかなか難しいと感じさせられました。


(藤嶋)




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