見分けてみてね 
(2020年6月30日)
     
  個体識別が非常に難しいリスザル。半年かかってやっと見つけた特徴を前回書きましたが、おそらくほとんどの人が実物を見ても識別するのは難しいと思います。そこで、少しでも伝わればいいなと思いそれぞれの特徴を書いた個体紹介ラベルを作りました。ようやく再開園し、「あ、この子が雪ちゃんで、この子がロロだ!」なんて声が聞こえてくるかなぁと来園者の反応を楽しみにしていたのですが、残念ながらまだ見分けられたという声が聞こえてきません…。やはり。という感じではありますが…。しかし、以前よりも個体を見ようとしてくれている人が増えたように思います。動物を見るだけでも十分楽しいですが、同じ動物でも違いが見えてくるとより楽しいです。ラベルと見比べてもなかなか難しいと思いますが、動物をよく観察するきっかけになればいいなと思います。

 (田村)



 見分けられるかな? 
(2019年6月28日)
 
 
  リスザル担当になり早1年。

最初のころを思い出すと「あぁ、そういえば大変だったなぁ」と、ふと思い出すことがあったので担当者ならではの苦労話を少し。

動物たちの健康管理には、動物の状態を観察するのは基本です。ただ、異常を見つけた時にそれがどの個体なのかが分からなければ意味がありません。そのため必要なのはちゃんと個体の見分けが出来ていること。

・・・なのですが、これがとても難しかった…。

最初のころはどんなにじっくり見ても全頭同じにしか見えない…。

「あ。この子は毛が濃いかも?」と思い、ほかの個体と見比べてみるとそんなに差がなかったり…、「じゃあ目の大きさは違うかな?」と見比べても、すごくわかりづらかったり…。

何とか違いを見つけようと、毎日注目するところを変えて特徴探しをしていました。

1頭ずつ特徴を見つけられるようになり、5頭全部の特徴がはっきりわかるまでにかかった時間は半年。たった5頭で半年…。なかなかかかりました…。

半年かけてどんな特徴を見つけたのかを、せっかくなのでお教えしましょう。

1番わかりやすいのは顔の周りに黒い毛が生え、眉毛がくっきりな雪。雪と似て、顔の周りに黒い毛が生えているけど眉毛がないのがマカロン。みんなより少し丸顔なのがハーちゃん。耳が真横から生えていてしっぽの毛先が広がっているのがシューちゃん。体が少し小さくて、目の上の頭のMの模様の山が高いの(分かりづらくてすみません)がロロ。

こう特徴だけ書いてみると意外と分かりやすいんじゃないか?と思った人もいるかもしれませんが、実際に見てみると特徴が分かっていても結構難しい。

…はず。

我こそは簡単に見分けられる自信があるという方は、ぜひ実物を見て個体識別してみてください。

(田村)

 



 探してみてね 
(2018年7月13日)
 

   
 現在5頭展示していますが、 それぞれを見分けるのは担当者でもなかなか難しい・・・。
しかし、その中でも一際目立つリスザルがいます。 名前は雪、女の子です。
何がそんなに目立つのかというと・・・
顔をよーく見ると、はっきりした眉毛が! 雪はとってもチャーミングな特徴があるため、簡単に見分けることができます。 雪はどちらかというと、遠くからこちらを見ているタイプなのですが、遠くても分かるくらい目立ちます。 見つけたらその表情に思わずニヤッとしてしまうかも・・・?
他の個体にも特徴はありますが、何げなく見てしまうとそれぞれの特徴に気付くのは難しいです。 じっくり観察してみるとそれぞれの個体の特徴が分かったり、新たな発見があったりするかもしれません。 じっくり見ても分からない時は、それぞれのリスザルの名前と特徴がイラストで描いてある展示物がありますので、見比べながら観察してみてください!

(田村)



 生れました。~その2~ 
(2017年7月15日)
 
           

6月29日に2頭の赤ちゃんが生れました。1頭の母ザルは前にも子育ての経験があり、赤ちゃんもしっかりと母ザルにしがみついていたそう。もう1頭の母ザルは、初めての出産。生まれた赤ちゃんは、少々小さく母ザルにしがみつく事が出来ずに下に敷いたワラの上に落ちていたそうです。 (他人事のように書いていますが、出産当日は担当者が休みだっため、聞いた話になります。)これまでも同じような事があったので、母ザルを捕まえて赤ちゃんを掴まらせようとしましたが、ちょうどエアコンの工事があったために、それが出来ず、赤ちゃんは事務所で様子を見る事にしました。モコモコとした布を巻いたものに掴まらせ、何度か哺乳も行いました。100g程度ととても小さかったため、死んでしまうのではないかと思ったそうですが、意に反してピーピーとよく鳴いていたそうです。エアコンの工事も終わり母ザルを捕まえ、掴まらせた所、嫌がらずにおんぶしていたので、親子を鳥かごに入れ様子を見る事に。
しかし、2日後の朝に、再び母ザルから落ちていた赤ちゃん。鳴いてはいましたが、体は濡れて冷たくなっていました。急いで事務所に連れていき、お湯で体をあたため哺乳。モコモコの布に掴まらせて保温をしました。哺乳も何度か行い、夕方、元気になったので、戻そうとしたところ母ザルが威嚇し、噛みついてきました。これでは戻せないと困っていた所、以前、自分の子ともう1頭。計2頭を子育てした母ザルがいたことを思い出し、一か八か、残りの2頭の母ザルに見せてみました。同じ29日に生んだ母ザルは匂いを嗅いだものの、その後は知らんぷり。11日に生んだ母ザルも同じかと思いきや、匂いを嗅いだ後、自らの肩を下げ、赤ちゃんに背中に乗るように誘導したのです。赤ちゃんが間違えて他の母ザルに乗ることはあるとは思っていましたが、母ザルが誘導する事があるのかと驚きました。実はこの母ザルはこの赤ちゃんのお祖母ちゃんにあたる個体でした。この日は、この祖母ザルにお願いして任せる事にしました。
翌朝、観に行くと赤ちゃんは力が出なくなってしまったのか、お祖母ちゃんの背中には掴まっておらず、祖母ザルに抱きかかえられていました。再び保護しようとすると、祖母ザルが、威嚇し、頭をグシャグシャにされてしまいました。が、保護し、哺乳するよく飲み、またピーピーと鳴いていました。鳴く元気が出ていたので、保温をしてモコモコの布に掴まらせ様子を観ていましたが、保護した甲斐なく死んでしまいました。解剖の結果、衰弱死という事でした。小さく生まれた事。母ザルから十分に栄養が取れなかった事。祖母ザルには、少し前に生まれた仔ザルがいたため、赤ちゃんは十分にミルクが飲めなかった事。などが原因と思われます。

残念ながら1頭死んでしまいましたが、残りの2頭はしっかりと母ザルに掴まり、すくすくと成長し、可愛らしい姿を見せてくれています。皆さんも赤ちゃんたちに会いに来て下さいネ!


(藪)




 生れました。 
(2017年6月30日)
 
          

月11日() 朝、展示の準備をしにリスザル舎へ行くと、リスザルたちの様子がいつもと違っていました。
よく観てみると、メスの1頭のお尻が赤く汚れており、扉の下の所に、弱々しいながら網にしっかりと摑まり、小さな声で鳴いている赤ちゃんが生れていました。体重140gのオスの赤ちゃん。体が冷えていたため、大急ぎで赤ちゃんを事務所に連れて行き、お湯に入れて体を温めてあげ、その後、母ザルを捕まえて赤ちゃんを背中にしがみつかせました。嫌がって振り落してしまう恐れがあったため、親子は鳥かごに入れしばらく様子を観る事にしました。最初のうちは、気にして赤ちゃんの尾を引っ張ったりしていた母ザルも、そのうち受け入れたのか嫌がる事なく大人しく赤ちゃんを背負って餌を食べ始めました。
赤ちゃんはお乳を探すも、なかなかうまく見つからず、心配だったため、ミルクを作って飲ませる事にしました。小さな注射器で、誤飲しない様に舌の上にちょっとずつちょっとずつ垂らしてあげると不器用ながらもピチャピチャと舐めるように飲んでいました。母ザルの背中に乗せたままやったため、途中で何度か母ザルが飲んでしまう事がありましたが、満足するとしっかりとしがみついたまま寝てしまいました。
翌日には母ザルのお乳をしっかりと飲んでいる姿が観られたので、一安心。でも、お乳を飲んでいる時以外は、ほとんど寝ています。

上野動物園のパンダの赤ちゃんが生れた時の大きさとほぼ一緒の赤ちゃん。現在は、起きている時間も増えてきて、つぶらな瞳でキョロキョロと辺りを見回している事もあります。可愛い姿を観にきてくださいね!

追記:29日にも2頭の赤ちゃんが誕生しました。コチラの話は次回!!


(藪)




 同居 
(2016年11月30日)
 
  
 
9月に展示場がリニューアルオープンし、ガラス面が出来た事で、リスザルたちがガラス越しに手を近づけてきたり、可愛らしい姿を見せたりしています。また、先月からは、ケヅメリクガメのカメ吉との同居も始まりました。しかし、この同居によりリスザルたちの行動に変化がみられました。
以前は、餌をセットして、寝室から展示場へ出る扉を開けると走りぬけて出て行っていましたが、最近では、出たり入ったり。昼間はカメキチが動いていると、上からその動きを見張って場合によっては警戒して鳴き声をあげる事も。夕方も同じで、出たり入ったりを繰り返してなかなかスムーズには帰ってはくれず・・・。カメキチに対して、好奇心よりも警戒心の方が強いようです。
同居して1ヶ月が経つのに、今だに距離のあるリスザル。昼も夜も一緒に過ごしているのだから、早く甲羅の上に乗るくらい仲良くなって欲しい担当者なのです。


(藪)




 子育て上手 
(2014年10月14日)
 
  
 
7月31日に誕生したリスザルの赤ちゃん。順調に成長しています!!

生後2ヶ月経った頃から、1頭でウロチョロと動き回る姿を見るようになりました。
2011年に生まれたリスザルたちは、2ヶ月では母ザルにずっと引っ付いていたので、今回生まれた仔ザルの成長には驚き!!
ケージの網をよじ登ったり、床をピョンピョンと跳ね回ったりと、1頭で動き回れる事が嬉しいか、のようにはしゃぎまわっています。しかし、他のサルやオウム達が騒ぎ出すと一目散に背中に飛び乗ります。しかし、母ザルにではなく、叔母ザルに・・・。
この叔母ザルもとても面倒見が良いようで、いつ見ても、仔ザルの側にいます。群れで生活している動物たちは、自分の仔以外の面倒を見る事があります。
小さな群れだけれど、協力しながら生活しているリスザルたちを見習いたいものです(^v^)

叔母ザルといつも一緒にいますが、お腹が減ると母ザルの所へ。少しずつ大人たちの真似をして餌を食べようとしている姿も!!小さくて可愛いリスザルのカワイイ小さな仔ザルに会いに来て下さいネ!!


(藪)




  誕生
(2014年7月31日)
 
  
 
暑い夏の陽気の中、リスザルたちは床に腹ばいになったり、鉄の支柱にダラリとぶら下がるなどして、涼んでいます。

そんな中、6月頃からお腹の膨らみが目立ってきていたメスが、本日出産しました。赤ちゃんも母ザルの背中にしっかりと摑まり、オッパイも飲んでいます。
3年前にも立派に子育てをした母ザルなので、今回もきっとしっかり育ててくれると思います。

可愛いリスザルたちに会いに来てくださいね!!


(藪)




 冬支度
(2013年12月16日)
 
  
 
暑かった夏もおわり、長い秋が続き、急に寒くなりましたがみなさん風邪などひいていませんか?
寒くなっても元気に動きまわる動物がいれば、寒さが苦手で丸まっていたり、他の個体と身を寄せ合って、寒さを凌いでいる動物もいます。
リスザルたちはどちらかというと、動き回っています。

中南米に生息している彼らは寒さに弱いのですが、他のサルに比べ、良く動き回っているように思います。しかし体が冷えて寒くなると、舎内に取り付けてある、コルツヒーターにしがみつき、体全体で温まっています。ただ、それだけでは寒い埼玉の冬を越えるには寒い・・・。そのため、今年もリスザル舎に防寒用のアクリル板を設置しました。これで寒い埼玉の冬も元気に越えられるはず・・・。

このアクリル板を設置したおかげで、中のリスザルたちが少々見づらくなってしましいました。
これもリスザルたちの体調の為ですので、あしからず、、。


(藪)



肝っ玉母さんたちの夏
(2011年8月12日)

   

春になるといろいろな動物に赤ちゃんがうまれます。リスザルも例外ではなく、春になるとメスのお腹が膨れてきていました。
しかし、残念ながら今まではうまれてきても親が育児を放棄してしまったり、お乳の出が悪く、死んでしまったり、死産だったりとうまく繁殖できていませんでした。
今年も3頭いるメスはみな妊娠し、お腹も膨らんできました。そろそろ出産かな~と思っていた、6月23日に1頭、6月25日と7月2日にもそれぞれ1頭うまれました。

6月23日にうまれた子は、残念ながら母親が育児を放棄してしまいました。そこで今回は私が母親の代わりとなり人工哺乳で育てることにしました。現在、すくすくと成長しています。
まだ先になりますが、みなさんにお披露目したいと思っていますので、楽しみに待っていてください。

残りの2頭は母親にしっかり育てられていましたが、7月17日の朝、係が部屋に行ってみると1頭の母親に2頭の赤ちゃんがしがみついていました。1頭を本当の母親に戻そうとも考えましたが、一度離してしまった子供を育てるとは限りません。また、捕まえることでパニックになり、今抱いている母親も自分の子どもも育てることをやめてしまうかもしれません。ですから、そのまま様子を見ることにしました。

すると、その母親はしっかり2頭におっぱいをあげ、赤ちゃんたちも交代で飲んでいました。ただ、飲んでいる量が足りなければ2頭とも弱ってしまうので、毎日ちゃんと飲めているか量が足りているかを注意深く観察しました。
現在、2頭とも順調に育っています。そんな心配は無用なようでした。
反対に、毎日成長する2頭を背負っている母親は、育児と暑さでお疲れのようで2頭を背中に乗せたまま床に腹ばいになって寝ていることがよくあります。

さぁ!夏は始まったばかり!まだまだ暑い日が続きますが暑さに負けず、かわいい2頭の赤ちゃんと、肝っ玉母さんに会いに来ませんか?


(藪)





 

生と死
(2009年6月29日)

  

6月11日の朝、いつものようにリスザルを展示場に出すと、妊娠中だったメスのお腹が前日よりも平たい…。しかも、お尻のほうに黒い細長いものが垂れ下がっている…。
「変だな?!」と思いよく見てみると、背中に小さな赤ちゃんを背負っていました。(垂れ下がっていたのはへその緒でした)
びっくりしつつ、うれしい気持ちでいっぱいになりながらしばらくの間観察をしました。

実は昨年も妊娠はしたのですが、母ザルが若かったため残念ながら流産してしまったのです。
今年はなんとか無事に出産してほしいと思い、妊娠に気付いてからは栄養の多い餌を与えたり、ストレスがかからないように注意したりしていました。

今回は初めての出産というのもあり、母ザルは少々神経質になっているようで、子ザルにちょっかいを出してくるほかのサルを威嚇して子ザルを守っていました。
子はおっぱいを飲むとき意外は小さな両手で母親の背中にしっかりしがみついていました。
母親も嫌がらずにおっぱいをあげていたので、順調に育ってくれるかと思った矢先の6月19日の朝、寝室の床に落ちているのが発見されました。獣医の処置もむなしく、昼過ぎには息を引き取りました。

解剖の結果頭を地面に強く打ち付けたのが直接の原因でした。おっぱいを飲んでいる姿は観察されていましたが、実際にはミルクの出が悪かったようです。2日間位ミルクが飲めておらず力尽きて頭から地面に落下してしまったようです。

せっかく産まれたのですが残念な結果となってしまいました。
この死が無駄にならないように今後の飼育に生かして生きたいと思います。


(担当 藪)




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