入選作品をご紹介します。(敬称略)

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「桜の樹の下で」

竹川 義之

川越公園
(川越市)
 

 

審査員講評

 

ワイドレンズを効果的に使い、夕日に映える満開の桜を画面いっぱいに、その中心の点景の人物のシルエットも動きがあり、とてもドラマティックな作品です。空の淡いブルーからオレンジ色に変化していくグラデーションが、桜の花の美しさをいっそう引き立て、画面構成、露出、色調のトーンも、とてもきれいにまとまっています。タイトルにもう一工夫あると、見る人の創造をかきたてるのでは?



 
「幸せの歩み」

齋田 和博

 

巾着田曼珠沙華公園

(日高市)
 

 

審査員講評

 

 毎回、曼珠沙華自体が主題になっている作品が多い中で、一面に咲いた曼珠沙華の中を行く若い親子が主題となった作品。親子の姿を逆光の中に浮かび上がらせ、その頭上には、強烈な木漏れ日が光り輝いています。曼珠沙華の下部の部分の切り取り方が、少し中途半端。主題の親子に目が行くように、木々の緑と花の赤の比率のバランスを考え、すこし画面の整理をすると、もっと良くなると思います。


 

 

「駅へと急ぐ」

小西 直昭

川口西公園

(川口市)

 

審査員講評

 

世界は白と黒のモノトーンの雪景色。ジャンケンをしているふたりの子供たちの彫像の頭にも肩にも雪が積もり、時間が止まってしまったかのよう。そんな世界の中を、足早に階段をかけ上がる傘をさしたふたりの人。なんとも不思議な光景にみえます。タイトルは「駅へと急ぐ」ですが、このシーンにあった不思議な世界の想像をかき立てるようなタイトルをつけてもいいのでは?


 


「緑したたる」

杉本 純子

上尾丸山公園

(上尾市)
 

 

審査員講評

 

タイトルどおり、本当に緑したたるような作品ですね。水面に映った緑を多く配して、その中にのぞくわずかな青空も効果的で、画面を緑一色にまとめたところがとてもいいです。鬱蒼と茂った緑の中を犬と散歩する人のポジションも、よく考えて撮られています。喧騒を忘れ、森の朝の静かな時間が流れている様子がとてもよく伝わってきます。

                         

 


 「雨上がりの朝」

 

横山 宣明

 

所沢航空記念公園

(所沢市)

 

審査員講評

 

 

降った雨もまだ乾ききらない雨上がりの朝のテニスコート。休日の朝なのでしょうか。桜の木の下で、湿った春の雨の匂いとやわらかな光に包まれての朝のテニスは、少しぐらいボールが濡れたって平気と思えるほど楽しいひとときなのでしょう。何でもないシーンですが、穏やかな幸せな日常を感じさせる作品です。


 

 


 「ペンギン行進曲」

 

 大橋 常雄

 

こども動物自然公園

(東松山市)

 

審査員講評

 

 

とてもユニークな楽しい写真。ガラスの向こうから覗いている親子と、そんなことなどお構いなしのペンギンの動きもかわいらしく、タイトルの「ペンギン行進曲」も決まっています。思わず掛け声をかけたくなります。


 

 

 

「花に誘われて」

 
三澤 利弘
 

 

彩の森入間公園

(入間市)

 

審査員講評

 

 

桜の花に向かって、着物を着た五人のご婦人が一列に並んで闊歩している後ろ姿は、壮観ですね。春のエネルギーを感じます。こんな公園のシーンは、なんだか元気が出てきます。


 

 

「雨上がりの朝」

 

番場 享 

 

さきたま古墳公園

(行田市)
 

 

審査員講評

 

大きく伸びた木の枝と幹の黒いシルエットが繊細な額縁のように画面を包み、鏡のような水溜りに映った青い空と満開の桜の古墳を、いっそう鮮やかに浮かびあがらせています。とても美しい作品。空の青と、桜、若草に包まれた古墳のおだやかな春の風景を、黒の樹のシルエットによって、一味違ったものにしています。

 


 

 

 

「時空をこえて」

 

太田 千賀子 

 

さきたま古墳公園

(行田市)

 

審査員講評

 

 

青い空には白い雲が流れて、風に吹かれた枯れ草の向こうに並ぶ古墳。まさに「時空をこえて」ですね。主題は古墳なので、右側の樹の切り取り方を考えて、古墳が最も印象的に見えるよう様々なアングルから構図を考えて撮ったら、もっと印象深い作品になると思います。

 

                         

 

 

 

「ムーミン館の秋」

 

臼井 正一 

 

あけぼの子どもの森公園
(飯能市)

 

審査員講評

 

 

赤く紅葉した木々の葉の間から覗いたムーミン館。静かにじっと待っていたら、ドアが開いてムーミンが出てきそうな雰囲気の作品です。


 

 

 

「コキアの燃える頃」

 

薮内 邦夫

  

国営武蔵丘陵森林公園

(滑川町

 

審査員講評

 

 

コキアの花のピンクとバックの黒の対比がシンプルにきれいに構成されています。


 

 

 

「春を待つ」

 

島ア 直助  

 

羊山公園

(秩父市

 

審査員講評

 

 

芝桜の花のカーペットで有名な羊山公園も、辺り一面雪におおわれ白一色の世界なのでしょうね。こんな風に雪景色の武甲山を眺め、春を待つのもいいものですね。


 

 

 

「森にいらっしゃい」


一木 克好

 

秋ヶ瀬公園

(さいたま市)
 

 

審査員講評

 

 

紅葉し始めた木々、横に流れる木々の影、3つ並んだベンチと、とてもきれいにまとめているのですが、露出が少しオーバー気味のプリントになっています。もう少しアンダーにしてコントラストをつけると、画面が引き締まりとても良い作品になると思います。


 

 

 

「きれーいに咲いたね」

 

堀口 三郎

 

熊谷運動公園

(熊谷市)

 

審査員講評

 

 

色違いのリボンのついたおそろいの麦藁帽子をかぶった後ろ姿が、なんとも微笑ましい。ホームのおばあちゃんたちのお花見見物でしょうか。公園の過ごし方には、様々な人の、様々な時間がありますね。


 

 

 

「福祉村にも秋が…」

 

遠藤 由美子  

 

県民健康福祉村

(越谷市)

 

審査員講評

 

 

画面右上の葉の処理のしかたが中途半端です。葉をカットするか、入れるのならどのぐらいの割合でいれるか、そのニュアンスで写真の印象が変わると思います。

 


 

 

 

「長閑に過ぎて」

 

小川 六夫

 

北本総合公園

(北本市)

 

 

審査員講評

 

 

柔らかな陽ざしのもとで、若草色の柳の葉の色に染まった世界。心地よい風が吹き、湖面には小さなさざ波が……。のどかな釣り風景ですね。


 

 

 

「赤い絨毯」

 

庄司 博

 

巾着田曼珠沙華公園

(日高市)

 

審査員講評

 

 

曼珠沙華の群生を俯瞰から撮った作品で、曼珠沙華がどんなふうに咲いているのかが良くわかります。今まで誰も撮らないアングルから撮った風景です。


 

 

 

「桜と池」

 

松下 健一 

 

大宮公園

(さいたま市)

 

審査員講評

 

 

少し露出オーバー気味の雰囲気が、春のうららかなまったりとした感じをよく表しています。ひねもすのたりのたりかな、の句が浮かんできます。桜の一枝を画面に大きく入れたのがいいです。タイトルのつけ方に工夫を。


 

 

 

「アイスランドポピーの繚乱」

 

須藤 康男  

 

秩父ミューズパーク

(秩父市)

 

審査員講評

 

 

画面構成はとてもいいのですが、プリントがアンダー過ぎて、色調もブルーが強くでています。花の色の美しさがうまく表現しきれていないのが、大変残念でした。

 

 


 

 

「最奥の」

 

千葉 明里 

 

巾着田曼珠沙華公園

(日高市)

 

審査員講評

 

 

15歳の千葉さんは、巾着田曼珠沙華公園のなかを、きっと奥の、奥のほうまで歩き、木に生えている?不思議な3本の曼珠沙華を見つけ、心惹かれ、シャッターを切ったのでしょうか。光の具合も、とてもいいです。


 

 

 

「エルフの国」

 

阿部 桃子 

 

蕨市民公園

(蕨市)

 

審査員講評

 

 

素敵なタイトルをつけましたね。夢があります。タイトルひとつで、写真の見方がガラっとかわります。指輪物語のなかにもでてきたエルフとは、簡単に言うと妖精のようなもの。動きのあるシルエットの子供の姿が、光の中にひょいと現れた妖精のように見えます。

 

 今回は、15歳から87歳までという幅広い年齢層の方からの、315点の応募がありました。そして今年はもっと若い人にも参加して頂こうという主旨から、新しくU(アンダー)−18賞が設けられました。人気のあった公園は、国営武蔵丘陵森林公園、所沢航空記念公園、その次に、大宮公園、川越公園などが選ばれていました。

 技術的な面では、最近はプリントも自分で仕上げることが多くなっています。色々な写真のソフトがありますが、少なくとも、明暗、コントラスト、色調は、きちんと自分で調整できるようになるといいですね。プリントを外注する時は、パソコンは機種によって色味も様々ですから、データと一緒にサンプル写真をつけるといいでしょう。

 このコンテストも、今回で23回を迎えました。当初はフィルムの時代でしたが、写真の世界は大きく様変わりして、今はすっかりデジタルの時代です。デジタル写真は、あらゆる撮影をいとも簡単に可能にしてくれ、撮影後もパソコンで色々と修正することができます。そして、フィルム代も気にせずに惜しみなくシャッターを何枚でも切ることができ、写真がいっそう身近な存在になったと思います。また、撮った写真はその場で確認することができ、納得がいくまで撮り直しができることにより、コンテストの写真のレベルは一段とあがりました。

 しかし、カメラを通して世界を覗き、それを切り取る行為は、今も昔も同じです。ちょっと大げさに言うと、写真を撮る事は、人生を見つめ、その時の感じたものを切り取り記録すること、つまり自分の今ある想いを切り撮ることだと思います。普段の生活のなかで何気なく物を見る意識とはまったく違い、カメラを手にしている時は、より注意深く世界を見ているはずです。その時、自分が何を見つめ、何に心を動かされ、シャッターを切ったか。カメラを通し、見ることの目を研ぎ澄まし、ただ映像的に目を引く物を撮るのではなく、心の目で見ること、その一枚を大切に撮ることがとても大切です。

 そうすれば、自ずと写真は上手くなり、その想いは、写真を見てくれる人にきちんと伝わります。そんな気持ちを心のどこかに意識してファインダーを覗けば、今までとは違った何かが見えてくるのではないでしょうか。 



横山 正美 (写真家)

日本航空国際線客室乗務員として7年間勤務、1980年退社。以後フリーランスとしてコマーシャル、雑誌、ドキュメンタリーの分野などで幅広く活躍。1988年NHK教育テレビ「日曜美術館」の1年間の司会やリポーターな ども。2004年、東京から逗子に移り、作家活動。個展多数。

 主な写真集に、尾崎豊『午前0時の十字架』(幻冬舎)、『B-1ザウルスの盃』(夢枕獏共著/世界文化社)、『人魚のゆくえ』(新潮社)、『猫になりたい』(新潮社)、空の写真詩集、『僕の空、ルシエール』(幻冬舎)。最新刊、2013年オークラ出版より猫、薔薇のカレンダーなど。

 谷崎水紀のペンネームで、エッセイや写真詩集『ジャンとナナ』『麗しのマイ』(幻冬舎)など。