大宮公園小動物園

私の日課


 天野獣医

2021年11月15日

11月に入りどんどんと日が短くなってきました。今月初旬は10月並みという暖かい日が多くてよかったのですが、中旬に入り朝方の気温もぐっと下がって冬の足音が徐々に聞こえてくる季節になりました。そんな季節の移ろいを感じつつ、今日のお話は春夏秋冬関係なく私がいつも日課として行っていることについてのご紹介です。

それは…改まって言うようなことでもないのですが、「朝一番の見回り」です。私は出勤するとすぐに着替えて園内の見回りに出ます。動物たちは元気にしているか、餌を残したりしていないか、ケガをしたり、変わった様子はないか、便は正常か…。大宮公園小動物園は小さな動物園ですからすべての動物を見回ってもそんなに時間がかかるわけではありません。ですが、先ほど書いたようにそれぞれの動物について一つ一つ確認して回るとそれなりに時間がかかります。私は飼育係でもありますが、獣医師としての仕事も兼任しているので前の日に何か治療をしたり、どこかにケガをしていたり、痛そうにしていたら真っ先のその動物の様子を見に行きます。小さな動物園と書きましたが、自分が担当で一日に飼育作業ができる種類には限界があります。当然ですが一人で全種類の面倒を見ることはできません。だからこそ朝早く来て行うこの朝一番の見回りが重要なのだと思っています。一日の始まりになるべく全種類の動物の様子を見ておく。特に普段自分が飼育に入らない動物も見る時間がとれる。しかも、毎日見ることで「あれ?いつもと違うぞ?」と些細な変化に気付くことができるのです。

「やあみんな、今日も元気だね」と声をかけたり、寝ている動物を起こさないようにそっと糞や餌の残りを確認したりしているのですが、いろいろ楽しい発見もあります。そろそろ赤ちゃんが生まれるころだな、と思っていた動物が無事に赤ちゃんを産んでいたり、抱いていた卵から雛が孵っていたり。そんなことがあればそれは特別な日です。でも日常的にも見ていて思わず癒されるのは、開園していない時間で油断している(?)ミニブタたちの寝顔でしょうか。2頭ずつ入ればいいのになぜか2頭分のスペースに3頭で入って寝ていて、とても狭そうなのに気持ちよさそうに寝ている顔に思わず笑ってしまい、私はこれを「ぎゅうぎゅうミニブタ」と秘かに呼んでいます(写真)。少し後になると餌がもらえる時間になって起きてしまうので、これは朝の見回りをしている者の役得と言ったところでしょうか。

他にも、今は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため閉鎖されているフライングゲージを覗くと警戒心の強いムギワラトキがフラミンゴ池に降りていたり低い手すりに止まってのんびりと羽繕いをしていたりする姿を見ることもあります(写真)。昼間は高い枝の上に止まっていてなかなか近くで姿を見ることができません。これも開園時間前に動物園に居られる飼育係の特権かもしれません。朝早いと色々な野鳥の声や姿を楽しむことができる日もあります。そんな副産物?もちょっと楽しみにしながら、明日も私は日課である朝の見回りに行くのです。

ミニブタの写真
ぎゅうぎゅうミニブタ
ムギワラトキの写真
ムギワラトキ

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