大宮公園小動物園

ココがすごいアネハヅル

小髙飼育係

2022年9月30日

 大宮公園小動物園には、2種類のツルが飼育されています。今回はそのうちのアネハヅルをご紹介します。

飾り羽が美しい
キャプション(編集は画像ボタンから)

 アネハヅルは世界中に15種類いるツルの中で一番小さいツルです。体長は90cm、体重は2~3kg、翼開長は150~170cm。ツル科最大で、飛ぶ鳥の中で最も背が高いオオヅルの場合は、体長は180cm、体重は7~13kg、翼開長は220~280cmですからとてもかわいらしいツルであることがわかりますね。体は小さいツルですが、幅広い生息域を持っていて、世界で2番目に数が多いツルで20~24万羽生息しています。(一番多いのはカナダヅル)ツルの仲間には絶滅の危機に瀕している種が多く、そのような種の飼育を優先するので、動物園でアネハヅルを見る機会は少ないようです。大宮公園小動物園は1953年に開園している動物園ですが、その開園当初にアネハヅルを飼育していた記録があります。そんなことから、途中途切れながらもこの種の飼育を続けています。

印象的な目

 アネハヅルは東ヨーロッパ、ロシア、中央アジアから中国やモンゴルで繁殖し、アフリカ、インド、中国で越冬します。渡りをするときは10羽くらいの小さな群れから400羽以上の大きな群れまで作ります。飛び方は変わっているわけではありませんが、チベットからヒマラヤ山脈を経てインド、パキスタンへ渡る群れは8000m以上の高さを越えて渡りをします。人間では呼吸をするのも困難なくらい空気も薄く、気温も氷点下-40℃にもなる悪条件の中、毎年数万羽というツルたちが渡りをしています。人間なら高山病になってしまうような環境でアネハヅルたちが酸素ボンベなしで渡りができるのは、鳥類が持っている「気嚢」、この気嚢の能力が良いことと、アネハヅルだけが持つ特殊なヘモグロビンのおかげで薄い空気の中でもしっかりと体内に酸素を取り入れられることが理由です。

ヒマラヤ越えはアネハヅルとインドガンだけ
最近の研究では…

 今、小動物園で飼育しているのはオスが1羽です。2つの部屋を行ったり来たりしてのんびり過ごしています。ツル用のペレットと青菜、鶏用、ハト用、小鳥用の配合飼料を給餌していますが、食べる量は一定ではありません。季節によってはこれをほとんど食べないこともあります。はじめは心配しましたが、サバンナなどの草原に暮らすツルらしく昆虫やトカゲを食べるといわれているので、今は展示場の草の中にいるバッタや地面の中の虫を自力で採取していると理解しています。そのため、展示場は草が生えた状態を保つようにしています。それでも、いつ食べる物の好みが変わるのか分からないので、給餌量を変えるタイミングを見極めるのが難しい。これが一番の悩みです。

 展示場には水飲み場があり、常時水が流れています。水を飲むときに、水の溜まっているところからではなく、水の出てくる給水口から直接水を飲みます。確かにそれが一番新鮮なものであるわけですが、なぜそれが分かるのか?不思議です。

水を飲む

 以前はペアだったので、またパートナーを得、繁殖につなげられたら良いなと願っています。

 小さいけれどすごいやつ、と覚えておいてください。

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