大宮公園小動物園

水玉模様は悲しみの表れ?

豊田飼育係

2023年1月31日

 寒い日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか?

 昨年の11月に大宮公園小動物園に赴任し、初の投稿になります。今回はホロホロチョウについてのお話。ホロホロチョウといえば、まず目を引くのが体中を覆う水玉模様ですよね。観るたびに見惚れてしまうほど美しい模様です。

 

ホロホロチョウ
複雑で綺麗な水玉模様

 ホロホロチョウは、ヨーロッパで古代ギリシャ・ローマ時代にはすでに食用にされていた家禽(人間が生活のために飼い馴らし、改良した鳥類)です。野生種は現在でもアフリカの中部から南部にかけて広く分布しています。美しい水玉模様(正しくは真珠斑といいます)は野生種由来の羽色で、古くから家禽として飼育されていたにも関わらず、未だにこの真珠斑の系統が大半を占めています。この真珠斑、なんと羽根の11枚に入っているんです。羽根の大きさや生えている場所によって大小様々な斑が入っていて、それが重なり合うことで美しい模様を作っています。

羽根の大きさや位置によって模様は様々

 一体、なぜこんな羽色になったのでしょうか?

 ホロホロチョウの学名はNumida meleagris(ヌミダ・メレアグリス)。メレアグリスはギリシャ語のホロホロチョウを指しますが、ギリシャ神話に登場する勇士メレアグロスの姉妹という意味からきています。神話の中で兄弟であるメレアグロスが亡くなり、悲しみに暮れた姉妹がホロホロチョウに姿を変え、彼女たちが流し続けた涙が真珠斑として表れたとされています。単に美しい模様だと思っていましたが、背景には悲しい逸話があったんですね。

 ちなみにホロホロチョウの和名には諸説ありますが、「ホロホロ」と鳴くからホロホロチョウと言われているのが一般的です。しかし、今のところ「ホロホロ」という鳴き声を聞いたことはありません…。この鳴き声はシチメンチョウと混同された可能性があるという見方もあります(シチメンチョウの鳴き声は「ホロホロホロ…」と聞こえなくもないです)。私は、メレアグリスが悲しみに暮れ「ホロホロと」涙を流し続けたことからくるという説を推したいと思います。もちろん、生物学的・生態学的にも意味がある模様なのでしょうが、学名の由来を学んだりすると、また違った視点で観察することができます。ホロホロチョウはフライングケージで飼育していましたが、現在、冬期限定でキジ舎での展示をしています。近距離で観られるチャンスですので、来園の際はホロホロチョウの美しい姿をじっくりと観察してみてください。

キジ舎で展示中のホロホロチョウ

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