埼玉県こども動物自然公園

フクロモモンガの世界

ecoハウチュー 鈴木飼育係 

立春を迎え、気温も少しずつ上がってきました。季節の移り変わりを感じられる時期になりましたね。
私は主にecoハウチューを担当しています。昨年は子年ということもあり、沢山の方にご来館していただきありがとうございました。現在はコロナウイルス感染症対策のため19日からecoハウチューは全面閉鎖させて頂いております。皆さんに動物たちの元気な姿をお見せできない事が非常に残念ですが、また開館できる日を心待ちにし、日々の動物達の健康管理に努めたいと思います。

さて、今回は昼間の動物の展示よりも長い間閉鎖となっている「よるの世界」から、フクロモモンガについてのお話しをしたいと思います。

突然ですが、フクロモモンガは何のなかまだと思いますか?
実はコアラやカンガルーと同じ有袋類といわれるなかまでカンガルー目に分類されます。そのため、雌のお腹をよく見てみると育児のうと呼ばれる袋があり、その中で子育てをします。

フクロモモンガの育児のうの写真
フクロモモンガの育児のう(動物の安全に基づいた保定をしています)

姿が似ている動物にムササビやホンシュウモモンガがいます。フクロモモンガもムササビもホンシュウモモンガも飛距離は異なりますが滑空する動物です。しかし、ムササビやホンシュウモモンガはげっ歯目のリス亜目に分類されます。彼らはリスのなかま、フクロモモンガはカンガルーのなかまで分類学上はだいぶ離れた動物です。このように異なる分類の動物が似た形になることを収斂進化(しゅうれんしんか)または収斂といいます。なんだか少しややこしく感じますね。

ホンシュウモモンガ写真
ホンシュウモモンガ
ムササビ写真
ムササビ

次に彼らの生態について少し説明しましょう。
まず生息地はオーストラリア北部から南東部、ニューギニア諸島、ビスマルク諸島にかけて分布しており、ユーカリやアカシアの多い森林地帯で暮らしています。実際にecoハウチューの展示でもユーカリを多く入れるなどの工夫をしています。

繁殖は交尾の後、着床し約16日前後の妊娠期間を経て仔がうまれすぐに育児のうに入り、その中で約70日前後過ごします。育児のうには乳房があり袋に入って授乳をします。ecoハウチューでも昨年の12月に双子が2組生まれました。現在は成獣より2、3回りほど体は小さく、毛の色は薄いグレーです。成獣になると少し毛の色は茶色がかってきます 

12月生まれのフクロモモンガ
12月生まれの仔
成獣のフクロモモンガ
成獣

雄は1歳ほどで性成熟を迎え、その頃から額の臭腺が発達してきます。群れの雄のリーダーは額にある臭腺を仲間に擦り付け、マーキングをするので額の一部の毛が薄くなります。このマーキングは群れの一員であることを示す大切な証拠の様なものです。この証拠がないと仲間とみなされず、群れから追い出されてしまいます。

このような社会性があることは驚きですね。

オスの臭腺の写真
オスの額の臭腺

動物はそれぞれ違った社会性があり、その中で役割を持ち生活しています。ecoハウチューには真社会性をもつハダカデバネズミをはじめ、単独生活や群れでの生活などいろいろな社会性をもっている動物がたくさんいます。ぜひ再開館した時には違いを比べに来てください。

上には忘れていましたが、ecoハウチューにはフクロモモンガよりもさらに小さな「チビフクロモモンガ」も展示しています。「よるの世界」で展示していますので、再開したらこちらにもご注目ください。

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〒355-0065 
東松山市岩殿554

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電話:0493-35-1234

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