埼玉県こども動物自然公園

“健康に飼育する”ことの難しさ

須賀飼育係

2022年6月5日

すっかり夏のような気温が続いていますね。2度目のペンギンヒルズの夏を迎える私は、昨年の反省を生かし、今のうちから暑さと紫外線に負けないよう体調管理に気を付けているところです!皆さんもヒルズにお越しの際は日焼け止めと帽子を忘れずに!

さて今回もペンギンヒルズのお話・・・ではなく、私のもう1種の担当動物「プーズー」についてのお話です。プーズーはペンギンヒルズのプールの向かいで展示をしています。

担当になってから一年間、改めて野生動物を“健康に飼育すること”の難しさを感じたので、今回は簡単に三つほど紹介します。

プーズー
プーズー 世界で一番小さいシカ

まず一つ目は「距離感」です!もともと人の近くで生活する「家畜」とは違って、プーズーは「野生動物」です。とても繊細な動物なので、飼育係が近づきすぎたり、大きな物音がするとパニック状態になって怪我をする可能性があります。飼育作業をするときも、驚かせないようにできるだけ静かにゆっくり動いています。自分の行動が動物にどんな影響を与えるのか、慣れるまではずっと緊張して作業をしていました。

二つ目は「温度管理」です。野生のプーズーは南米のチリやアルゼンチンなどに生息しています。冬は寒く、夏は暑い現地の気候は日本によく似ています。ですが、季節の変わり目の激しい気温の変化に悩まされました。ちょうど今の時期、ずっと暑い日が続いた後に急に気温が下がる日があると、体調を崩しやすいですよね。動物も同じで、特にこどもは体温調節が上手にできずお腹の調子が悪くなり、下痢をすることも多くありました。暑いからといって冷房を入れると冷えすぎるので扇風機を回したり窓を開けたり・・・。天気予報と気温予報を欠かさずチェックし、色々と試しながら「この気候なら、この設定で丁度いい」というのがようやく分かってきました。

三つ目は「食べ物」です!動物もヒトも、健康に生活するために重要なのは食べ物ですよね。痩せすぎず太りすぎず、プーズーらしい体型を維持するための餌のメニューと量は何が最適なのか「これが正解」という答えはないので、季節や個体に合わせて少しずつ調整をしています。野生のプーズーが食べているのは植物の葉や果実なので、動物園で与える餌の中で一番多く食べてほしいものも「枝葉」です。しかし好きな種類の時と、あまり好きではない種類の時とで食べる枝葉の量に大きな差が出ます。さらに、好きな種類の葉でも何日間か続けて与えると飽きてしまうのか、段々残す量が増えてしまうのです。プーズーが飽きずにたくさん枝葉を食べてくれるよう、常に目を光らせて色んな植物を探しています。枝葉をたくさん持った飼育係が山の中から急に現れても驚かないでくださいね。

コウゾという植物の葉
「コウゾ」という植物の葉
コウゾを食べるプーズー
むしゃむしゃ すごい勢いで食べています
翌朝にはなくなったコウゾ
好きだったようで、翌朝には食べつくされていました

このように、改めて色々なことを考え、学んだ一年間でした。これからももっとプーズーがプーズーらしく健康にいられるよう、そしてプーズーの魅力を皆さんに伝えられるよう頑張っていきたいと思います!

放飼場にいるプーズー
もっと魅力が伝わりますように!

 

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