埼玉県こども動物自然公園

ZOOミーティング〜SCZOOのマヌルネコについて〜

齊藤飼育係

2023年5月6日

 こんにちは!去年度までマヌルネコの担当をしていました齋藤です。423日は国際マヌルネコデーという事で、ZOOミーティングにてSCZOOのマヌルネコたちをテーマにお話ししました。今年度から動画公開ができなくなりましたので、この場でその内容を紹介していきたいと思います。ちょっとわかりづらい点もあるかもしれませんがご了承ください。

 ZOOミーティングでは、私が担当をしていて驚いた事、気づいた事を4つのテーマに分けて紹介しました。それは、換毛・季節の体格作り・運動能力・発達した感覚についてです。マヌルネコは季節によって体格が異なります。よく知られているまるまるっとした姿は冬限定。夏は毛が抜けて細身に見えます。これは、野生で生きているマヌルネコが季節によって給餌の量に変化があるため、見られる現象です。
私も野生界と同じように給餌の量を季節で変えたところ、なんと夏と冬では約
1.5kgも体重に変化がありました。(驚きですね︎)
 ちなみに、毎月体重測定をしていましたが、マヌルネコはネコですのでとても気分屋です。とても難しいです。いつも戦略を考えて測定していました!

 発達した感覚については、来園者の方から実際にお聞きした情報を取り入れさせていただきました。オリーヴァもロータスもとても聴覚・視覚に優れているというお話です!私がマヌルロックへ向かう時、、、何とエコハウチューの下り坂辺りでも分かるそうです。そのため、私がどんなにそろりと歩いてきても、着いた頃にはすでに室内へ戻ってしまい、マヌルロックでの行動観察が全くできない・・・という驚きのエピソードでした!

スライド1
換毛・体格の変化

スライド2
運動能力・感覚について

 次にご紹介するのは、現在非展示となっているタビーの様子についてです。(本日5月6日は15歳の誕生日!)
タビーは国内最高齢のマヌルネコであり、去年の
9月頃から色々な出来事がありました。発端は、タビーが自身の部屋のステップ台から着地を失敗してしまい、右後肢を跛行してしまった事です。その後すぐにステップ台を増やしたため、現在ではスムーズに上り下りする事ができています。しかし、この後は残餌が残るようになったり、血尿が見られる時もあったりと、タビーの体調面を心配する期間となりました。
 その後、どんどん季節は進み温度が下がっていくと、心配とは反面に、タビーはどんどん調子が良くなりとても活動的になりました。私としては、歳をとると体温調節が難しくなり、寒さは体に堪えるのではないかと色々準備も進めていましたが、タビーには必要なかったようです!野生下のマヌルネコは厳しい寒さの中で暮らしているため、高齢となったタビーも寒さには強いんですね。これは、さすが、野生動物!マヌルネコ!と驚いた事をいまだに覚えています。

 ただ、この頃困った事もありました。それは、タビーの聴力・視力の衰えを感じた事です。タビーの姿を確認し『おはよー、タビー』と手を振り声をかけても、タビーはぽかーんとして違う方を見ている事が増えました。これは、聞こえてないし見えてないぞ、、と感じました。そこで、マヌルネコ舎に入る時には、必ずタビーを確認し、声をかけ、こちらに気づいたら扉を開け中に入るというルールを作りました。結果タビーは急いで転んだりする事もなく現在も安全に過ごせています。

スライド3
タビーの現状について

スライド4
タビーの経過について

  そして、今年の2月下旬頃、朝タビーの室内に入ると、餌が無惨な形であちらこちらに散らばっている状態を発見しました。タビーはいつも綺麗に完食します。これはどうしたものかと考えました。もしかして、歳のせいで好みが変わったのか、それとも、食べたいけど食べられなかったのか。私は後者だと思い、給餌を細かくし、工夫してあげてみる事にしました。なんと、次の日は完食!それ以降も残さず食べることができていました。しかしこれは、顎の力が弱くなり、硬いものが食べられなくなったという証です。こういう些細な事にもしっかりと気づき、瞬時に対応できる力が飼育係には必要なのだと痛感しました。

 他にもタビーには色々な工夫を施しています。他の二頭よりVIPな爪研ぎや、毛取り器、24時間観察できるカメラ、滑り止めマットなどあります。しかし、なんと言ってもタビーを直接見た時に、目・鼻・口元・歩様など健康観察をして行く事が最も大切だと感じました。

タビーは歳をとった今でもタビーのままです。タビーらしく長生きしてほしいと思っております‼︎

スライド5
タビーに合わせて工夫したこと

 

スライド6
タビーの今後について

 

 最後に、ロータスとオリーヴァのお話です。サポーター募金を利用して作られたマヌルロック。こんな素敵な展示場があるのであれば、もっと使ってほしいと思い、色々と工夫をしてみました!
ステップ台の設置や植物の配置、砂場など二頭がどんなふうに使ってくれるか、何を好むのか手探り状態からのスタートでした。ここでロータスが大活躍します。新しい物を配置しても好奇心が勝るロータスのおかげですぐに行動を観察する事ができ、順調に進める事ができました。
たまに「こう使うのか‼︎」と驚かされる事もありましたが、マヌルロックでの滞在時間を増やす事が出来たのではないかと感じています。次はオリーヴァの番です。この頃はまだマヌルロックへ出れませんでしたので、展示場を改良する計画を立てました。野生動物ですので計画通りに進まない事もありましたが、今ではオリーヴァもマヌルロックで見る事が出来るようになりました‼︎オリーヴァも楽しそうにマヌルロックを使ってくれているそうです。

 

スライド7
ステップ台と巣箱

スライド8
丸太と植物

 

 いかがでしたか。最後に今回のまとめです。野生動物は能力が高く、計画を立てたとしても予想を超えてくることがほとんどです。しかし、諦めずに続けることが大切だと学びました。今回マヌルネコの担当になれたことで、色々な挑戦や可能性と発見を知ることができ、とても楽しかったです。今後もマヌルネコのために取り組んでいきたいと思います。また、皆さまと一緒にこれからも動物に携わっていきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします‼

おまけ

タビーのグッズが販売開始しました!個体を限定してグッズ化することは埼玉県こども動物自然公園ではかなり珍しいことです。皆様の応援のおかげです。ご来園の際はぜひお立ち寄りください。

マヌルネコ「タビー」のグッズが登場!

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東松山市岩殿554

こども動物自然公園管理事務所

電話:0493-35-1234

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